あたしはぽかんとしたまま、こくこくと頷いた。






「そっか。何年生?」





「に………二年生」






なんとか答えると、男の子はふんわりと笑顔の花を咲かせた。






「じゃあ、同じ学年だ。

よかった。


俺、来週からここの二年に編入するんだ。

よろしくな」






男の子がこっちに手を伸ばしてきた。




あたしが反射的に手を上げると、男の子の手がしっかりとあたしの手を捉えた。





………この感触、知ってる。




骨ばっているけど、滑らかな感触の、大きな手。






ーーーあきら、



と、心の中で呼ぶ。






「………よろしくね」





と小さく呟いて、あたしは男の子の目を見つめた。




煌めく星明かりを宿したような、まっすぐできれいな瞳だった。







ーーー新しい世界だ。





そうだ。



あたしは、この世界で生きていくんだ。






たくさんの命が築き上げた、


たくさんの命で守られた、


この新しい世界で、





………あたしたちは、生きていく。





この世界をつないでくれた、数え切れない人たちの愛を、全身に感じながらーーー







【可視光の夏】完





続編のご紹介

【あの夏の光の中で、君と出会えたから。】

彰の生まれ変わりと百合の物語