校門を出て数歩すすんだところで、あたしはふと足を緩めた。




同じくらいの年頃の、私服の男の子が、植木の隙間からグラウンドを覗き込んでいたのだ。





あたしは怪訝な顔で男の子の様子を窺いながら、ゆっくりとその背後を通り過ぎる。





そのとき、男の子があたしの気配に気づいて、ぱっと振り向いた。






「…………あ」






思わず、立ち止まった。





その顔を見た瞬間、



………あたしには、分かってしまったのだ。





この男の子はーーー彰だ。





男の子は首を傾げてあたしを見ていたけど、しばらくして、にこりと笑った。





その笑顔は、やっぱり、彰の笑顔とおんなじだった。




優しくて透明な微笑み。





穏やかな表情を浮かべたまま、男の子が口を開いた。






「君、ここの中学の子?」