「…………っ、う、……っ」






途中からは、もうほとんど読めなかった。




拭っても拭っても溢れ出す涙のせいで、視界がいびつに歪んで。



顎の先から落ちた涙がガラスを濡らして。






ーーー彰。




彰、彰、彰。





会いたい………会いたい。







膝の力が抜けて、立っていられなかった。





よろりと床に腰をついたあたしを、周りにいたクラスメイトたちが驚いたように見ている。





あたしは嗚咽を洩らして泣いた。




静まり返った展示室に、あたしの泣き声が反響していた。






「………っ、あきら、あきら………っ」






泣きじゃくりながら、あたしは壁のほうに目を向けた。




壁を埋めつくすように並んだ、たくさんの白黒の顔写真。






ーーーすぐに、見つかった。




彰の写真。


あたしの目には、一枚だけ、浮き上がっているように見えた。





あたしはふらりと立ち上がり、もつれる足で走って、壁にすがりついた。





小さな四角い写真の中で、彰が微笑んでいる。




懐かしい微笑み。




その胸には、百合の花が一輪、挿さっていた。