彰はやけに清々しい顔をして言った。






「たとえ勝算が皆無だとしても、それでも最後の最後の一瞬まで諦めない。

諦めたその瞬間に、日本は確実に終わってしまうから。


だから俺たちは、万に一つの可能性に賭けて出撃するんだ。


特攻は日本に残された最後の砦なんだよ」






………やっぱりだめなんだ、とあたしは落胆した。




どんなに言葉を尽くしても、彰を納得させることはできない。





彰の言っていることは、すごく正しいことのように思えた。




『諦めたら、そこで終わり』。




まるで漫画の中の名言みたい。




でも、ここは漫画の世界じゃない。



現実だ。



そして、戦時中だ。




たくさんの人の命がかかっている。





簡単に『諦める』とか、『終わり』とか、言えるような話じゃない。