自分はおかしな子だ、誰にも信じてもらえないと思うようになった頃、母に連れられて永近のもとに引き取られた。
事情を娘から聞いていた永近は、思葉の話を頭ごなしに否定しなかった。
そうして、思葉の能力はちっともおかしいことではない、しかし他人に軽々しく話すべきでもないということを優しく教えた。
唯一の理解者を得ることができて、思葉のふさぎこんだ心は徐々に開いていった。
底抜けに明るくて闊達な來世との出会いもいい影響だった。
もし永近がいなかったらと思うと背筋が凍りつくほど恐ろしい。
それと同時に、自分はこんなにも周囲に助けてもらっているのだなという感謝の気持ちがこみ上げてくる。
その永近に、この世に無駄なものはひとつもないと言われた。
永近に霊感があるのも、思葉にこの能力があるのも、なにか意味があるからなのだ。
玖皎の声が聴こえるということも同じだ。
せっかく聴こえて、人同士のように意思疎通までできるのだから、それを無碍にしてはいけない。
「……気になっていたんだが」
急に玖皎が抑揚のない声を発した。



