妖刀奇譚






高校生の三人組とすれ違うので、一旦そこで言葉を区切る。


通りかかったケーキ屋の前に黄色の熊の着ぐるみが居たが、玖皎はずっと静かにしていた。



「あたしはそんな風にはしないよ」


「うん?」


「あたしには、どうしてかは知らないけど、玖皎の声を聴くことができる。


だから玖皎の声が聴こえている間は、置物みたいな扱い方はしないわ……もし、聴こえなくなったとしても」



ねえ、あなた。あの子、どこかおかしいのかしら。


変わった子だな……お義父さんのところに引き取ってもらった方がいいんじゃないのか。


そうね、もしかしたら父さんと同じかもしれないからね。



物心ついた頃から、観えたり聴こえたりするようになっていた。


初めはそれが何かわからなくて両親に尋ねていたが、だんだん両親に気味悪がられるようになった。


口に出すべきことではないと悟った時にはもう手遅れで、周囲から冷ややかな目で見られるようになってしまった。


通っていた幼稚園ではいつも一人ぼっち。


友達の輪に入ろうとしても



『うそつき』


『きもちわるい』


『うそつきがうつるぞ』


『ことはちゃんとあそんじゃだめってままにいわれた』


『あっちいけよ』



と無邪気な声に撥ね退けられた。


教師たちにまで、手のかかる迷惑な子という見られ方をしていた。