青江と話し合い、柄巻と渡巻の巻き直しと目貫の交換をすることにした。
鍔や縁頭などの錆落としも、渡巻直しと一緒に弟子に引き受けてもらえることになり、思葉は土下座する勢いで、引き受けてくれた弟子に礼を言った。
「糸は黒にしてくれ、絹糸がいい」
という玖皎の注文を背中で聴き、思葉は別の弟子に連れられて必要なものを選びに店の方へ戻った。
柄糸だけでもかなりの種類があり、注文をしてもらってよかったとこっそり思いながら、黒い正絹の糸を手にする。
鮫肌が並ぶ棚を眺めていると、隣に立つ弟子が声をかけた。
「思葉さん」
「はい?」
「鮫肌とは言われていますけど、これは鱏(えい)の皮だってご存知ですか」
「えっ、そうなんですか!?」
「嘘じゃないですよ」
びっくりして、思葉はにこにこしている弟子と鮫肌を交互に見た。
ずっと海豚とよく似た姿の鮫の皮だとばかり思っていた。
一つ日本刀について新しい知識を得たところで目貫の棚に移る。
ふと目に留まった、龍の這う姿を表したものを選んだ。
これだけで高校生にしてはなかなか高額な買い物になってしまったが、十分なお金を永近に持たせてもらっているので心配ない。



