「そうだったんですか」
「まあ正解だな。おれは三条宗近という刀工に会ったことはないが、おれを鍛えた刀工はあいつの甥だと言っていた」
いきなり玖皎が喋ったので、思葉はびくりと肩を跳ねさせた。
けれど青江には気づかれていないようだったので、胸の内でほっと息を吐く。
玖皎はついうっかり喋ってしまったという様子だ。
「悪い悪い」と、大して悪いと思っていない軽い口調で思葉に謝罪した。
しばらくは暇つぶしにウォークマンを貸すことはやめておこうと思う。
青江は刀身を一通り丁寧に確認してから刀装具を元に戻し、玖皎を太刀袋の上に置いた。
「一通り確認させていただきました、古刀を見る機会はあまりないので楽しかったです。
ひとまず刀自身の破損はありませんね、手入れを続けながら保管してもらえば大丈夫です。
あとで手入れの仕方もお教えします」
「ありがとうございます」
「拵えの錆も気になりますが、まずは柄巻と渡巻を直しましょう。
渡巻の方は複雑なのでうちの弟子にさせますが、柄巻の方は思葉さんがやってみますか?」
「はい、ぜひ」
思わず勢いよく言ってしまった。
玖皎に過剰に驚かれたが気にしないでおく。



