「……分かるけど、それが気になるのよ」
「気にしなきゃいいんじゃん」
「コミュ音痴に向かってそんな無理難題を簡単に言わないでくれる?」
「さっきから自虐的だなおまえ……自分で言ってて虚しくねえの?」
「事実だから仕方ないでしょ」
むくれながらすっぱり言った思葉に來世は苦い表情になった。
見られると面倒になるので背中を向ける。
「そうだなあ……入学したての頃とか、クラス替えしたばっかのときとか思い出してみろよ。
あのときってさ、誰と話すにしても距離感掴むところから始めるから大変だったろ?」
「まあ、そうだったわね」
「初対面の奴と仲良くしていくのはそれと同じ感覚だよ。
ほら、今思葉が割とつるんでいる霧崎や武川とだって、会ったその日から今みたいに打ち解けられたわけじゃないだろ。
そいつと仲良くしていくのだって一緒さ、焦らないで徐々にそいつとの距離感に慣れていけばいいんじゃねえの?」



