妖刀奇譚






「……名は体を表すって、こういうことなのかなあ」



(ていうかこれ、ある意味プロポーズだよね……)



偶然か、あるいは必然なのか。



「おい、早く教えろ」


「やだ」


「はあ?」



思葉はアプリを終了し、スマートフォンの画面を閉じた。


それから、怪訝そうな顔つきの玖皎に向かって笑ってみせる。



「気になるんだったら自分で調べてみなよ」


「口に出すのも憚られるほどにまずい言葉だったのか?」


「違う違う、むしろいい意味だと思うよ」


「ならば 教えてくれても構わぬので」


「あっ、いけない、早くおじいちゃんのお使い済ませないと。


ここに来たのもそのついでだったし、行くよ玖皎」


「おい思葉、無視するな、いいから教えろ。


というか花見はどうした、もういいのか」


「内緒ー、ここに来たメインはお花見じゃないからいいよ。


来るだけでもう目的は達成したようなもんだったし。


それよりお使いを果たすことがずっと大事だよ」


「ならその後に」


「お断りしまーす」


「おい待て」



思葉は玖皎の制止に構わず、笑いながら雑木林を下り始めた。


玖皎が走って追いかけ、思葉も斜面の勢いを利用して駆け出し、ちょっとした鬼ごっこに突入する。



(あたしから教えられるわけないじゃん、あんなこっ恥ずかしい花言葉)