妖刀奇譚






鶯の鳴き声が聞こえる。


思葉は太刀を玖皎に渡して、彼岸花が咲いていたという辺りに立った。


白っぽい土には、もうじき訪れる春をじっと待つ小さな雑草がぴたりとくっついている。



「早く言え、もったいぶらせるな」


「もったいぶらせてないよ、相変わらず気短いわね」



玖皎を振り返って思葉は茶化すように言ったが、相手が不機嫌な顔をしたのでそれ以上はやめておいた。


その場にしゃがみこんで、小指の爪ほどの白い花を軽くつつく。



「彼岸花って不吉なイメージばかり先行しているでしょ。


だけどね、『想うはあなた一人』、『また会う日を楽しみに』っていう花言葉もあるんだよ」


「想うはあなた一人……また会う日を楽しみに……?」


「もしかしたら、琴さんからのメッセージだったのかもしれないね。


玖皎に自分の姿が観えないから、代わりに彼岸花を贈ったのかも」



何となく心に浮かんだことを口にしたら、それが本当のように思えてきた。


もしも、そうであったら嬉しい、すごく素敵だ。


玖皎が思葉から視線を逸らす。


その横顔に表れた笑みは優しいものだった。


かつて自分が安置されていた頃を思い出しているのだろうか。



(……あ、そうだ)