いきなり始まった自己紹介と、彼にかみつく珒砂という少年に、思葉はどう反応すればいいかわからずたじたじになる。
珒砂は殴られた頭をさすって咳払いをした。
「おれたちは阿毘だ」
「阿毘って……閻魔のお使いの?」
「おまっ……閻魔王をそんなぞんざいに呼びやがって」
「まあまあ」
声を険しくした珒砂の隣で、轉伏と名乗った阿毘が彼をなだめて口を開く。
「そうだよ、気絶した君のお友達が襲われないようにしたり、君と琴姫を会わせてあげたり、霧雨玖皎が琴姫と会えるようにしたり。
まあ後半は別に仕事じゃないけど、この世とあの世の境目を警備したり、あの世の住人がこの世の住人に悪影響を及ぼさないように見張って必要な場合は処刑したりするのが役目です」
「……もしかして、來世と綾乃さんの記憶が妙なことになっていたり、髪切り魔のことが別の情報になっていたりしたのも、あんたたちがやったってこと?」
「うん。へえ、けっこう鋭いんだね」
轉伏がぱちりと指を鳴らした。
「あのまま話が広がったら、君もだけどぼくたちにもちょっと不都合があったからね。
事件についての記憶はぼくら以外の阿毘が書き換えたんだけど、正直、スカート切り魔はないよね。
そこらへんはちょっと人選ミスだったかな」
「んな話はどうでもいいだろ」



