妖刀奇譚






あからさまではないが、悍染は玖皎を挑発しているようだった。


相手を怒らせたきつけること、自分の思うように相手を動かすことが非常にうまい。


それは千年前に出会ったときから変わらない、玖皎が嫌っている部分だった。



「相変わらず、達者な口だな」


「ほう、おまえがおれを褒めてくれるとは」


「誰が褒めるか」



玖皎は太刀掛けに立ててある自分の本体を手にした。


兜金にくくりつけられた二つの古い鈴が鳴り合う。


束の間その鈴を見つめ、玖皎は太刀を阿毘たちに示した。



「当たり前だ、今のおれにはこの身体がある。


ただ人間に使われるのを待つだけの道具ではない。


必ず……あいつを護ってみせる」



言葉にすることで、その想いが一層強まった。


これも言霊が持つ力であろう。


静かに闘志を燃やす妖刀の双眸を見据え、鬼神はふ、と小さく笑った。



「そうか、そう言うのであれば見させてもらおう。


くれぐれも今度はしくじってくれるなよ」


「しないさ、好きに言っておけ。


冥府でもどこでも、ふんぞり返って勝手に見ていればいい」


「あんたなあ……」



悍染への軽い嫌味に、珒砂が舌打ちをして三度抜刀しようとする。


この阿毘はかなり沸点が低く気短なようだ。