妖刀奇譚






「……どさ、思葉はどう思う?」


「へ?」



昇降口に差し掛かったところで、生徒たちのにぎやかな声と來世の問いかけに物思いから醒めた。


きょとんとする思葉を見て、來世が不満そうに眉間にシワを寄せる。



「思葉、おれの話聞いてたか?」


「あ、ごめん、ちっとも聞いてなかった」


「……そんなはっきり言うなよ、凹むだろうが」


「そのままべっこべこになっちゃえ」


「うわっ、ひっでえ」



大げさに顔をしかめる來世の頭を叩き、思葉は上履きに履き替える。


楽しそうな笑い声が聞こえて顔を向けると、綾乃と実央が一緒に昇降口に入ってきた。


先にこちらに気付いた実央が、思葉に向かってひらりと手を振る。



「おはよう、思葉ちゃん」


「おはよ、またゆっくりさんだね」


「おはよう、珍しいね、実央さんと綾乃さんが一緒に来るなんて」


「今、たまたま校門で一緒になったか」


「ねえねえ、思葉ちゃんも聞いてよ」



答えた綾乃を遮って、実央がずいと思葉に身を乗り出した。


反射的に思葉は一歩後ろへ下がる。



「な、なに?」


「さっき綾乃ちゃんに聞いたんだけどさあ」


「あ、待って実央ちゃん、わたしから話すよ。


あのね……自分でもびっくりなんだけど、わたし、金曜日の夜、玄関で寝ちゃってたんだ」


「えっ」