「それに、もう『玖皎』の呼び方が定着してるからね。
そちらの名前で呼んでも、なんかあんたと結びつかなさそう」
「思葉、まさかそれが本音か?」
「違う違う、冗談だよ、ごめんね」
やれやれという表情になったが、玖皎は思葉の誠意を素直に受け止めた様子だった。
檆葉丸。
思葉はまた、胸の中でその名を呼ぶ。
それから名付け親へと心を馳せた。
(琴さん、もう彼岸の方へ渡ったのかな……
玖皎の……檆葉丸のことは任せてね。
絶対に悲しい想いなんてさせないから……そちらへ渡っても、この子のことを見守ってあげてください)
思葉は小さく笑み、玖皎の顔を見上げた。
「これからもよろしくね、檆葉丸」
「ああ、おれの方こそ、よろしく頼む」
ゆっくり頷き、玖皎も思葉の手に自分の手を重ねて微笑んだ。
気持ちのいい沈黙が場に流れる。
思葉と玖皎、両者の繋がりは深まりより強固なものとなった。



