琴はぱちぱち瞬きして、それから思葉の方へ前のめりになった。
「やはり、あの子は人の姿を取っていたのか?」
「本当に最近ね、不安定でどのタイミングでなれるのかは分からないけど。
琴さん、見ていたのなら知っているでしょう?」
「ああ……そなたの話から想見はしておった。
されど、わらわには玖皎の姿を観ることもできなければ、声を聴くこともできぬのじゃ。
所詮、肉体から乖離しただけの霊魂、それによって見鬼の力を得るものではない」
「そう、だったの……」
てっきり、琴にはすべて観えていたのだと思っていた。
区切りは違うが霊魂と妖怪の世界は現世より近いものだから、それによって普通の人には観聴きできないものができるようになるのではとも考えていた。
観えていることを前提に話していたから、少々気まずくなる。
すると、切なげに笑んだ琴が手をくるりと回した。
「思葉よ、簡単でいいから教えてはくれぬか?
あの子の声と、あの子の姿を」
「もちろん」
思葉は玖皎の声と姿を思い返しながら琴に説明した。
的確なたとえが出てこなくて歯がゆい。
もう少しましな喋り方ができないかと自分自身にイライラする。
それでも、聴き終えた琴は満足げに微笑んだ。



