隅々までじっくり観察して、その途中で鎺に何かがほどこされているのに気付いた。
あんまり顔を近づけすぎたので、道臣が慌てて玖皎を自分の方へ引き寄せる。
「ど、どうなさいましたか」
「この、刀の鍔の下に巻いてあるものに何かあるように見えたのだが……」
「ああ、鎺のことでございますかな。
姫さまは目がよろしいのですね、この鎺には杉の葉の透かしが入っているのですよ。
三条弼柾が拵えをつくっている最中、晴明どのからどこかに杉の葉を入れるように言われたそうです。
なぜ杉の葉なのかは分かりかねますが」
「ふぅん、杉の葉か」
琴は改めて鎺を見た。
とても精巧につくられた透かしである。
「……道臣、わらわにはこの刀に宿るものの声は聞こえぬが、こやつにはわらわの声が聞こえるし、わらわの姿も見ることができるのであろう?」
「ええ、そのようでございます」
「ずるいな、こやつばっかり」
琴が頬を膨らます。
少し苦く笑って道臣は刀を鞘に納めた。



