琴はふうん、と返事をして、帯執のあたりをじっと眺める。
興味津々といった感情が、薄い隔たりがあっても強く伝わってきた。
「ねえ、道臣。わらわは触りはしないから、鞘から抜いてはくれぬか?」
「姫さま」
「触らぬ、危ないことはせぬから」
咎める口調になった羽木にかぶせるように琴が言う。
道臣は少し迷った顔をしたが、琴の眼差しに負けて玖皎を持ち、すらりと刀身を抜き払った。
淡雪のような刃文は美しく、一点の曇りもない。
苑珠たち以外にも衝立の向こうに何人かの侍女が控えているらしく、そちらから感嘆のため息が聞こえてきた。
夏梅だけでなく、嫌そうにしていた羽木まで見とれていた。
「……刀を見たことは少ないけど、この刀は奇麗だな」
「おお、姫さま、この刀の良さがお分かりになりまするか。
わたしも初めて手にしたときは驚きましたぞ。
これほど美しい刀を使うことができるとは思いもしませんでした……これぞ、妖刀というものなのでしょうかねえ」
琴は小さな手をきゅっと握りしめて、食い入るように玖皎の刀身を見つめた。



