妖刀奇譚






少し黙ってから、琴がずいと道臣の方へ身を乗り出した。



「道臣、わらわはその式とやらが宿る刀が見てみたい。


ここへ持ってきてはくれぬか?」


「姫さま、何をおっしゃいまするか」


「そうでございます。


いくら播谷どのと共に姫さまをお守りくださる刀といえど、妖怪なのですよ。


そんな、そんな刀を目にするなど恐ろしい」



突然の琴の発言に、2人の侍女がとんでもないといった顔つきになった。


特に蘇芳香襲の小袿の女は、眦を吊り上げて怖い顔をしてみせた。


しかし、琴は彼女たちの言葉にまったく動じずに言い返した。



「ならばそなたたちは見なければよい、わらわだけで見に行く。


道臣、その刀のもとへ案内して」


「姫さま、お止めください。


そのように恐ろしいことを進んでおやりにならないでください。


それに、姫さまに見鬼の力はございませぬ」



花田襲の小袿の女が琴の肩を捕まえたが、琴はその手からすばやく逃れると、侍女たちから離れて首を振った。


耳元で鈴が二つ、ぶつかり合って涼やかな音を鳴らす。



「いやじゃ、わらわは怖くないもの。


そなたたちが勝手に怖がっているだけではないか、それをわらわに押し付けないで。


声は聴こえずとも構わぬ、わらわは道臣のいう刀が見たい」