妖刀奇譚






今、思葉は琴の内側から、幼い頃の彼女の記憶を観ていることになる。


琴の目を、身体を通して見聞きし感じているからか、薄い膜に隔たれているようだった。


それでも、これまで記憶を観たどのときよりも、当事者たちを間近に感じていた。



「刀が言葉を話すのか?本当に?」



幼子の驚きが伝わってくる。


純粋なその反応が嬉しいのか、道臣が大きく頷いてみせた。



「はい、晴明どのに呪いを掛けられている故、その口調は若い男のそれと紛うほど人間に似ております。


高貴なる身分の方々へお聞かせするにはいささか無遠慮な物言いが多いのですが、共にいて嫌と感じることはありませぬ。


晴明どのも、あの刀のそういう性分をたいそう気に入られておいででした。


わたしにお譲りしてくださいましたが、もしかすると、少しばかり寂しく思われているやも知れませぬなあ」



思葉が考えていたより、道臣はかなり人当たりのいい性格らしかった。


年端のいかぬ子どもが相手でも、丁寧に受け答えしている。


琴の身分を考えるとそれが当然なのかもしれないが、けれどもいやいや話している感じはしなかった。