妖刀奇譚






「まあ、一般の方には難しいかもしれませんね。


でもどうですか?


この絵をきっかけに古美術について触れてみては。


わたくしが取り扱っていますのは水墨画だけではありません。


陶器や彫り物、印伝、昭和年代のプレミアム付きの玩具……まだまだございます。


歴史の中に生み出されてきた文化を色濃く表しているのが古美術です。


あなたもどうですか?


若いうちから古き良きものに触れ合うことは、これからの人生にも非常にいい刺激となりますよ」


「うーん、まあ、おれ歴史好きっすけど」


「おや、話が合いそうですね。


それにご存知ですか?


古美術をお部屋に置くだけで運気が上がることもあるんですよ」


「え、マジで?」


「來世」



目を輝かせて話に食いついた來世を、できるだけ冷たい声で呼ぶ。


一緒に刺すような視線も送ってやった。


來世は思葉を振り返らず、もう一度空咳を繰り返して首を振った。


手のひらを長谷部に突き出してきっぱり言う。



「いえ、やっぱ要りません。


そもそもその画が本物か偽物かも分かんねえのに。


贋作だったら困りますから」


「贋作だなんてとんでもない」