「ギャアアアアッ!!!」
突然、鼓膜を裂くような悲鳴が聴こえた。
映像が闇に霧散する。
目を開くと、妖怪同士の勝負はほとんどついているようだった。
玖皎は少しも疲れていない様子で真っ直ぐに立ち、倒れ込んでいる付喪神を見下ろしている。
付喪神の妖気の光は体全体に広がり、それがシルエットとなって人の形をどうにか保っていた。
光は徐々に薄れ、消えそうになった途端眩しいくらい明るく輝き、また風前の灯のようになるのを繰り返している。
女の姿は、その中に辛うじて判別できるくらい頼りないものになっていた。
もう、あの付喪神は人形を維持できないほどに弱まっている。
「あ……ゥアあッ、あ……ああっ……」
か細く言葉にならない声を紡ぎながら、付喪神がのろのろと地面を這う。
言葉も操れない様子だ。
ぼろぼろに妖気を削られても尚、思葉を狙って寄ろうとしてくる。
あの錆び付いた鋏は見当たらなかった。
(――もしかしたら)
哀れにさえ思えてくるその姿を観て、思葉は急に違和感の正体に気がついた。
彼女は付喪神だ、人ではない。
決して、残留思念が具現化したものではない。
(ああ、うっかりしていた。
どんだけ思い込みで動いちゃってたのよ、あたし!)



