自分がまったく意識していない方へ身体が動き、太刀を振るい、付喪神の攻撃を受け止めつつ隙を狙っている。
身体が別の誰かの意思に従って動き回っているのを、身体の内側から傍観している。
意識はあるのに身体とは乖離している。
操られている最中はそんな不思議な感覚に囚われた。
(玖皎も、人間に好き勝手に振るわれたときはこんな風に感じていたのかな……)
合意のうえであっても、ひどい言い方をすればかなり気持ちが悪い。
彼の場合は意思を尊重されることもなければ耳を傾けてもらえることすらなかった。
どれほど嫌な気持ちになっただろう……『嫌』で済むようなことではないだろうが。
「うっ……」
付喪神から距離を取ったとき、頭痛が起こり視界がかすんだ。
思わず太刀を杖のようについて顔を押さえる。
そして、立っているつもりだったのに、気が付いたらうずくまっていた。
胃の中のものが逆流しそうになり、目を閉じて歯を食いしばる。
明らかに、今まで感じていた疲労とは異なる感覚だ。
玖皎が焦った声を掛ける。



