護身を済ませ、玖皎を持って振り返ると、木と木の間から付喪神が現れた。
斬り落として短くなったはずの髪は、元の長さどころかそれ以上に長くなっている。
妖力によって治したのだろうか。
いや、そんなことを気にしている場合じゃない。
思葉は息を呑んで付喪神を見つめた。
これまで妖怪の類と遭遇した経験はないが、とてつもない大きさの妖気が渦巻いているというのはなんとなく分かる。
玖皎の声が張りつめたものになった。
「こいつ、前に闘ったときよりも妖力がでかくなってやがる。
道理であれだけの波動を出せたわけだ。
この数日でどれだけの人間の髪を食らったんだ?」
「ちょっと、嘘でしょ?」
「嘘を言ってどうする」
「そんな……ど、どうしよう。
あたし、とても仕留められる気がしないよ」
「どうも何もやるしかなかろう。
おれもできる限り援護する――ほら来るぞ!」
「アァアアアアアッ!!」
付喪神が耳をつんざく声をあげて思葉に迫った。
以前遭遇したときよりもスピードは格段に上がっていた、どうにかギリギリのところで避ける。
体勢を直して太刀を抜き払い、思葉は付喪神の背中めがけて斬りかかった。



