妖刀奇譚






年季の入った黄土色の表具に貼ってある本紙もなかなか古く、茶色っぽくなっている。


そこには時代劇などでよく見る建物と、その手前にある林だろうか、十数本の木が描かれていた。


画の空の辺りには、連なって飛んでいる黒い鳥もいる。


風景画であることはひとまず思葉にも理解できた。


長谷部が來世の反応に嬉しそうな笑顔になって説明する。



「こちらは楼閣山水図という作品です。


保存状態もかなり良い状態で、前の持ち主の方から破格のお値段でわたくしの店にお譲りしてくださったんです。


わたくしはもうこの作品を非常に楽しませていただきましたので、ぜひ辻森さんにも安土桃山文化に触れていただきたいと思いまして、ご紹介させていただいていたところなんですよ」


「へえ、安土桃山!織田信長とかの時代っすね」


「はい。その時代の作品がこんなにもいい状態で現代に残っているのは奇跡です。


通常ならもう驚くくらいの高額商品になりますが、いかがですか?


わたくしたちが譲ってもらった当初と同じか、それよりお安い金額でお譲りしようと思いますが」


「……そんなに高いの?」


「狩野元信は狩野派の祖である正信の息子でして、非常に有名なのですよ」


「はぁ~」