妖刀奇譚






「うん……ていうか玖皎、これはできてもまだ人型になれないの?」


「だから自分で対処しろと言ったんだ」


「わ、分かった分かった」



鼓動が速まっているのは走っているせいか、それともこれから起こることへの緊張か。


先日の層に引きずり込まれた経験から、付喪神との戦闘は避けられないということは予感している。


玖皎に力を貸してもらえるとはいえ、基本は自力で闘うしかない。


左手首を痛めて手甲を巻くことができず剣道を続けることは断念したが、県大会で3位にまで登りつめたこともあるので腕には多少自信はある。


居合斬りの稽古も、師範に筋がいいと褒められた。


しかしそれは対戦相手が人間の場合であり、それが人外となると話は大きく違ってくる。


思葉はぎゅっと玖皎を握りしめた。



(玖皎みたいにうまく立ち回れる自信ない……


けど、あたしがどうにかするしかないよね、綾乃さんにもしものことがあったら)



「きゃあああっ!」



突然、前方から身体の芯を凍りつかせるような悲鳴が聞こえた。


悲鳴というより、金物に爪を立てて引っ掻いたような不快な音に近い。


女性の甲高い声だ、顔からさっと血の気が引く。