答えながら來世が後ろ手で合図する。
俊太郎の話になったら延々と続いていくのが富美子なのだ。
そのことは思葉もよく知っているので納得し、來世の後ろから顔を出した。
「こんにちは、富美子おばあちゃん」
小学校に入学する前から交流のある思葉にとって、富美子は遠い親戚のような感覚の人だ。
そこまで他人ではないため、「富美子さん」とか「おばあさん」とは呼びにくい。
富美子も思葉に「富美子さん」や「おばあさん」よりも、「富美子おばあちゃん」と呼ばれる方が好きなようである。
だから高校生になった今でも富美子のことはこう呼んでいた。
「あら、思葉ちゃんまで。いらっしゃい」
富美子がますます笑みを深める。
自分の孫は息子と間違え、その孫の友達は間違えずに名前を呼んだ。
扱われ方の差に微妙な表情で小首をかしげる來世に、思葉は「どんまい」と小さな声をかけた。
「おや、お孫さん方ですか?」
卓袱台には富美子以外にもう一人、スーツ姿の男がいた。
中肉中背のこざっぱりとした、なかなか好印象な人である。
案の定、彼の前には湯呑と茶菓子が出されていた。
(予想的中)
額を押さえたくなったが思葉はぐっとこらえた。
來世がぱたぱた手を振る。



