「あたし、綾乃ちゃんの美髪に何かあったら嫌だよ。
もちろん、綾乃ちゃんがけがしたり危ない目に遭ったりするのだって絶対に嫌。
帰り道とか登校中とかも、変なやつに見られていないか気を付けてね」
「うん、ありがとう」
本当は一緒に登下校できればいいのだが、あいにく三人の家はすべて方角がばらばらだった。
しかもこの中で一番遠いのは綾乃で、彼女だけが自転車通学である。
「何かあったらすぐに連絡してよ、來世の首根っこ掴んですぐに駆けつけるから」
「思葉、何でおれまで連れて行くんだよ」
「何のために空手部やってんのよ、今こそ役に立つときでしょ」
「いやいやー、思葉が駆けつけたら、その通り魔の方がビビッて退散するだろ」
キシシと笑う來世の背中に、思葉はほどいたマフラーをぶつける。
ちっとも痛くないくせに「ぐぬおおお」と痛がる來世を見て実央は呆れ、綾乃はくすくすと笑った。



