通された客間は、こざっぱりとした庭に面した六畳間だった。
中央に背の低い黒いテーブルがあり、藤色の座布団が向き合っている。
「今日は日曜日でしたよね?学校があったんですか?」
思葉に入るように促してから、棟口がふと気がついたように尋ねてきた。
荷物を降ろしかけた思葉は慌てて答えた。
「あ、はい。さっきまで剣道部の部活があったんです。
それでそのままお伺いしまして……荷物が多くてすみません」
玖皎を自然に連れていくために思葉が考えたのは、玖皎を剣道部で使用する竹刀だと説明することだった。
そのため思葉は制服を着ている。
鞄には、中学3年生になったと同時に押し入れにしまいこんだきりにしていた道衣や袴、サポーターを放り込んできた。
これらは持って行く必要ない気もしたが、念のためである。
「そうだったんですか……お疲れ様です」
特に疑う様子もなく、棟口は台所の方へ向かう。
思葉はほっと息をついて荷物を置き、壁に玖皎を立てかけて座布団に腰を下ろした。
足音が遠ざかってから玖皎が声をかけてくる。
「うまくいった様だな」
「ああ、緊張した……棟口さん、霊感とかなさそうだけど、一応黙っていてね」
「分かっている」



