「いえ、そういうわけではないんです。
ただ、何となく妙な感じがするというのか……。
うちの祖父は骨董品を扱う職業柄、そういった類のものへの対処はけっこう詳しいので安心してください。
……あたしもお祓いとかはできませんが、まあ多少は。
でも情報なしに対処するのは厳しいので、それで、もし棟口さんが何かご存じなら教えていただきたいと思って……」
「まあ、胡散臭いが悪くない言い訳だな」
また玖皎が他人事のように呟いた、実際他人事ではあるが。
棟口はもう一度思葉の全身をざっと眺め、やがて緊張していた口元をわずかに緩めた。
「分かりました……そういうことであれば、どうぞ上がってください」
「あ、ありがとうございます。お邪魔します……」
どうにか信じてもらえたようだ、ほっと胸をなでおろす。
ローファーを脱いで揃え、思葉は玄関に上がった。
線香の匂いがかすかに漂っている。
思葉は客間へと案内する棟口が後ろを向いた隙に、さっきよりも強めに柄を叩いてやった。



