思葉は胸をおさえてほっとして、しゃがみこんで太刀を見つめた。
「びっくりした……もう、驚かさないでよ。
急に消えちゃうから、てっきり死んじゃったのかと思ったじゃない」
「勝手に殺すな」
機嫌の悪い声が返ってくる。
少し前まではこの状態が当たり前だったのに、違和感があるような懐かしいような、奇妙な気分になった。
玖皎がため息を混ぜて喋る。
「どうやら、人型を保っていられるだけの妖力がなくなったようだ。
いささか話しすぎたか……そもそもおれがこうして妖力を使うのは千年ぶりだから、まだ匙加減を思い出せていないせいもあるかもしれん。
しかし、実体のあるなしに人の姿を維持したまま喋るというのも、骨のいるものなんだな
思った以上に消耗した」
「大丈夫なの?」
「ああ、休めば恢復する、人間の体力や精神力と同じだ。
まったく、ここまで身体に堪えるとは予想もしなかったぞ。
そう考えると、あの付喪神はだいぶ妖力を蓄えていたし、使い慣れているということになるな、厄介だ。
単純におれの腕が鈍っただけなのか……千年の空白はけっこう痛いな。
また遭遇する前にどうにかしておかなくてはな、今度逃がしでもしたら」
「玖皎、そうやって話をそらそうとしていない?」



