妖刀奇譚






ああ、やっぱり泣いてしまう。


この短時間に何度泣けばいいのだろうか。


涙が出ると言葉が詰まってしまうのに。



「……罪は償うものでしょ?


主人を護れなかったことが罪なら、この先あたしを護ることが償いになるはずよ。


それに、玖皎が人を斬るようなことには絶対にさせない。


だから自分で自分を諦めないで。


過ちを責めているだけじゃ、そこから進むことなんてできないよ」



泣いているせいもあり、吐きだした息は荒れていた。


目の周りが熱く、視界がぼやけている。


また涙があふれそうな気がして、こらえるつもりで相手を見つめた。



「思葉……」



玖皎が半ば呆然とした声音で思葉の名を口にする。


少し黙り、また何か言おうと唇を開いたとき、何の前触れもなくその姿がなくなった。


まるでコンピュータ画面に開いたウィンドウの削除ボタンを押したように消えた。


しっかりと掴んでいた水干の感触も跡形ない。


突然の出来事に涙も止まる。


思葉は肝をつぶしてきょろきょろした。



「えっ、く、玖皎?」


「ここだ、ここ」



玖皎の声は下の方から、掛けてある太刀から聴こえた。


つまり以前の人型になる前の状態に戻ったのだ。