妖刀奇譚






富美子の家がある地区は少し遠い。


タクシーなら15分、バスなら20分、徒歩だと1時間近くかかるところにある。


この時間帯來世の両親はどちらも仕事で忙しいため、富美子は購入しようか迷うと來世に連絡するのだ。


そして小学6年生のとき、売りつけられそうになったものが偽物であると見抜いたことがきっかけで、思葉は追い出す手伝いをする様になっていた。


來世も何回かは自力でなんとかしようとしたが、結局買わされてしまい、親の力を借りる羽目に落ちていた。



話によると、やって来た訪問販売の人は來世が来るまで待っているそうだ。


律儀なのか論破できる自信があるのか良く分からない。


若い人間が二人も来ると聞いたら、大半のセールスマンは来てしまう前に買わせるのが普通なのではないかと思葉は考えるのだが。



「……てことは、富美子おばあちゃんはそのセールスマンにお茶とか出してるってことだよね?」


「だと思うよ」



バスの吊革に掴まる來世が遠い目で頷く。


届かないので手すりを握る思葉はそこに額をくっつけた。



「富美子おばあちゃん……なんで家にあげちゃうのよ。


押し売りに来るおっさんたちなんてもう決まってるじゃん。


取り合うからこんな面倒くさいことになるんだよ」


「仰る通りです」