玖皎が眉間にシワをよせて思葉から視線を逸らした。
「……だが、姫の身体を裂いたのは紛れもないこのおれだ。
おれの意思でなくとも、おれがやったという事実に変わりはない。
姫だけじゃない、何度も赴いた戦場でおれは多くの人間の命を奪った、それを無視することはできん」
やはり、玖皎の口から出たのは自分を責める言葉だった。
彼の言っていることが間違っていない、筋の通ったものであるのは思葉にも分かる。
けれども、その言葉に苛立ちが湧き上がった。
思葉は目つきを険しくして玖皎を強く睨みつけた。
「情けないのはそういうとこじゃないの?」
「は?」
「さっきから聞いていれば、ぐちぐちぐちぐち、反省ばっか並べて。
そのときの自分には抵抗する力がなかったから仕方ないみたいに言ったくせに、さも自分が悪いみたいな顔して自分を責めて……何よそれ。
それで自分の過ちと向き合っているつもり?
意思とか関係なく今まで奪ってきた命や、護りきれなかった主人たちへ償っているつもりなの?
笑わせないでよ、そんなの逃げてるのとなんら変わらないわよ。
あんたが気にしていることの何倍も情けないわ」



