泣いてはだめだ。
感情が乱れたら気持ちに余裕がなくなる。
何も正しく伝えられなくなる。
――何を?
そう疑問に思ったときには、もう口を開いていた。
半ば無意識のうちに声が出る。
「……うまいこと言えないけど、あたし……玖皎に非があるなんて思わないよ」
「え?」
玖皎が振り向き、思葉を見下ろす。
思葉は立ち上がって、自分より高いところにある、きょとんとしている双眸を見上げた。
「言い方悪いけど、刀って人間に使われるためにつくられるものでしょ。
だったら非があるのは玖皎じゃなくて、玖皎をそんな風に使ってきた人たちの方だよ。
あんたは盗み出されたんだし、もうそこから全部使い手の方が絶対に悪いわ。
琴さんのことだって、玖皎は琴さんを殺すつもりがあったの?」
「ばっ、ばか言え、そんなわけ」
「そうでしょ、だったら玖皎は何も悪くないよ。
悪いのはあんたをそういう風に使って琴さんを斬ったその山賊だよ。
玖皎が責められる筋合いなんてないわ。
それに、さっきはあたしを、あの付喪神から護ってくれたじゃない。
玖皎はああいうものと闘うためにつくり直されたんでしょ。
だったら護り刀としての本分を果たせていたじゃない、それで十分だよ」
言葉を発すれば発するほど、胸のあたりが苦しくなってくる。
目頭に熱を感じ、思葉はそこで言葉を区切った。



