妖刀奇譚






「極めて激しい戦いだった、戦国の世が舞い戻ってきたのかと思ったほどだったぞ。


侍が居た和装の軍はどんどん洋装の軍に攻められていたな。


刀の身であるおれにもどちらが敗れるのかは簡単に予想がついた、それほどふたつの軍力の差は大きかった。


それでも諦めずにおれを振るい続けていた侍が、憐れでならなかった。


洋装軍の猛攻を、その侍が同じ浅葱の羽織姿の侍数人と共に食い止めようとしていたときだったかな。


あの侍は頼りなげな見た目ではあったが強かったぜ。


浅葱羽織を与えられ、京都にいた血の気の多い輩どもと争っても無傷で勝ち続けていたからな。


今度の主は大丈夫だと、おれも信じていた。


その通り、あいつは傷を負いはしたが刀を持った相手には致命傷を受けなかった……されど駄目だった、遠方にいた鉄砲隊に撃ち抜かれたのだ。


どうにか生き残った仲間ふたりに引きずられて近くの森へ逃げ込んだが、その途中で息絶えた。


仲間たちも、開けた場所まで行って自刃した」



思葉は息苦しさを感じていた。


人を斬る武器である玖皎の過去に、流血沙汰がまとわりついていることは覚悟していた。


しかし、ここまで報われない話ばかりとは思わなかった。


ひりつく喉で、突き刺さるように苦い唾を嚥下する。