妖刀奇譚






「おれの意思でなく替わった主たちではあったし、正しくおれを使ってくれなかった者たちではあったが、戦場に赴けば自然と護りたいとは思った。


操ることができないおれは主の剣の腕を信じる以外になす術はなかったのだがな。


でも……最後の戦場まで、誰も護れなかった。


二百年ぐらい前だったか、国の流れを大きく変える戦があっただろう?」


「それって……鳥羽伏見の戦いとか、戊辰戦争のこと?


江戸幕府が倒れて、新しくできた明治政府が天皇中心の政治を行い始めた……」


「名称はよく分からんが、それかもしれんな。


洋装が多く海を渡ってきたような武器を用いた軍と、これまでの日本でよく目にした格好や武器のままの軍が争っていた。


おれは浅葱色の羽織を纏った若い侍の得物となっていた」


「浅葱……」


「ああ、洋装兵はわずかしかいなかったから、後者の軍に居たんだろうな。


その若い侍も、確か羽織の下は洋装だったと思う」



浅葱色の羽織ということは、その若い侍は十中八九、新撰組の隊士だ。


旧幕府軍に従い、戊辰戦争に参加したのだ。


小学生のときから学んでいた、日本史でもかなり有名な幕末に起きた戦争である。


玖皎の話を聞かなくても、侍の顛末はおおよそ察しが付く。