玖皎はどこか他人事のような話し方をしていた。
やはり、当時の気持ちがこみあがってこないようにしているのだろうか。
膝の上で強く握りしめられすぎて白くなっている拳が胸に痛む。
「もう主が何度代わったのか、途中から数えもしなくなった。
おれは武士たちの世界に引きずり込まれ、戦の度に顔も名も知らぬ数多の人間の血を浴びせられた。
人間を相手にしているときは、持ち手の身体を操ることはできないと話しただろう。
それに晴明の強力な術のおかげで、どんな状況下においても正気を失いはしなかった。
かつて当たり前のようにしてきた行為が、その当時は地獄に感じていた。
いっそ真っ二つに折られてしまいたいと何度も願ったが、それまでの業の罰だったのかは分からんが折れることも刃が欠けることもなかった。
壊れるのは拵えばかりだった、今の拵えで最初に付けられたものは一つもない。
主が勝てばまたその家に連れ戻されたし、敗れ殺されれば相手の戦利品として陣営に連れて行かれた。
……だが結局、どの主も最後まで護ることはできなかった」
再び遠吠えが耳に届く。
まるで、誰かの無念を嘆いているように哀しく響いている。



