「着裳の儀が執り行われた日、帝のはからいで陰陽寮から七人の陰陽師が遣わされた。
おれや道臣たちがその前夜まで妖怪を退治したことを聞いたからだろう、その日だけは休むようにと警護から外れて、夜も寺にいた。
……儀式の最中、姫はおれを傍に置きたがっていた。
すぐ近くでなくてもいい、せめて同じ部屋に置いて欲しいと。
侍女たちは困った様子でいたが、そうしないと着裳の儀をめちゃくちゃにすると姫に言われてしまったから、渋々承諾した。
正面にいたわけではないから全貌はしかと見えはしなかったが、やはり美しかったな。
横顔だけでも、童女がひとりの女へと変わっていくさまがよく分かった。
赤子であった頃からずっと見続けていたからかな……親にでもなった気分だったよ」
言いながら玖皎が息を震わせるだけの笑声を立てる。
その口角はちらとも上がっていなかった。
思葉は手を軽く握りこんで身構える。
これから玖皎が言おうとしていることに、薄々とだが嫌な予感をおぼえた。
何かが起こったのだ、きっと良くないことが。



