妖刀奇譚






玖皎は琴を、彼女が幼い頃から本当に大切に想っていたのだ。


おそらく初めは晴明に命じられたので渋々ながらに役目を担っていたのかもしれないが、琴が大人になることへの不満を抱くようになった頃の彼はきっと、役目という建前など考えていなかっただろう。


このぶっきらぼうで少し意地悪で、素直じゃない太刀がそこまで大事に想った姫。


どんな人であるか漠然と想像して、不可能であると分かりながらも会ってみたいと思った。


玖皎がまた数回咳払いし、火照りを冷ますように髪を掻きむしる。



「あー……まあ、とにかくだ。


着裳の儀式が近づくにつれて、姫の話の内容は徐々に暗いものへと変わっていったんだ。


もちろん今まで通り何気ない話もされたが、気づくと着裳について話していることが大半だった」



玖皎はかなり無理やり元の話題に戻そうとしている。


笑いをかみ殺しながら思葉は相槌を打ち、話の先を促した。



「うんうん、それで?」


「……おまえ真面目に聞いているのか?」


「ちゃんと聞いているよ」



じっとりした目で睨まれ、思葉は肩を竦めて頷いた。