「それを毎日?あんたの返答が聞こえないのに?」
「おれの返答を求めているというより、話をすることが目的という感じだったな。
いぶかしげな侍女たちの視線なんざまったく気にせずに、好き勝手おれにむかって話していたぞ」
飼い猫や小鳥相手ならまだしも、太刀を人のように相手にしてしゃべっていれば誰だって怪しく思う。
そもそも、声が聴こえなければただの物としか認識しないだろう。
思葉も、この能力を持っていなかったらそうしていたと思う。
それなのに玖皎に話しかけ続けていたという琴は、確かに変わった性格をした娘だ。
「嬉しかったんでしょ?」
「はあっ?」
面食らった様子で玖皎が思葉を見た。
勢いで白い髪がふわりと舞った。
思葉は繰り返し言う。
「自分の声が聴こえないのに、気味悪がらずに話しかけてもらえて嬉しかったんでしょ?
その琴さんは子どもならではの純真無垢な気持ちであんたに接していただろうし」
「ばっ……ま、まあ、うるさくはあったが、悪い気はしなかったな。
子どもは嫌いじゃないから」



