妖刀奇譚






まっすぐに視線をぶつけられて思わず小さく身じろぎする。


吸い込まれるような黒い瞳にどきりとした。



「少し長くなるがいいか?それと……あまり気分のいい話ではないが」


「う、うん、大丈夫だよ」



急にトーンも調子も低くなった声音に、思葉は戸惑いつつも頷いた。


話してくれる意思があると分かり、ひとまず安心する。


玖皎は目を閉じて長い息を吐き出した。


また挟まる沈黙に思葉は緊張するが、それはこれから語られる話に対するものだった。



「さっき、おれはつくり直されたと話しただろう」


「うん」


「初めはつくり直す必要はなかったんだ。


おれを使うのが晴明だけだったからな、おれが波動を流し込んでも差し支えはなかった。


だが、おれが晴明の式から外れ、人間に無害である妖刀となり、陰陽寮の中でやつに認められた陰陽師に使われることになったから、色々と不都合が生じちまったんだ」


「なんで別の人に使われることになったの?」



自分が使っている式神を手放して、ほかの人間に渡すようなことはあるのだろうか。


思葉はその道についての知識は陰陽師を題材にした小説や資料で学んだ程度しか持っていないが、あまり考えられないように感じていた。


おそらく晴明が、玖皎を手放さざるを得ない状況に置かれたのだろう。