妖刀奇譚






『今度は護れて』、その言葉自体の意味は分かる。


『今度は』ということはすなわち、以前はそうならなかった……つまり護ることが出来なかったという意味であることも悟れる。


そしてそれが、玖皎の過去に深く関わっていることも何となくだが分かった。


そのことを玖皎に聞くという行為は、彼の心に走る傷痕に爪を立てるのと同じことだ。


何かを堪えている唇がすべて物語っている。


知らないふりをして忘れてしまうのは簡単だ。


でも、そうすることによって何かが変わるのかといわれれば答えはノーである。


いつか向き合わなければならない問題を先送りにするだけだ。


それなら、玖皎がこれまで寡黙を貫いてきた自分の過去について話してくれた今、尋ねるべきだろう。


話してくれたということは、思葉のことを信頼している証拠である。


それに応えるためにも逃げてはならない。


玖皎は床に視線を落としたまま静かにしていた。


辛い記憶へ思いを巡らせているような悲しげな表情に胸の痛みが強くなる。


せっかくの決断が早くも挫けてしまいそうだ。


それでも股に置いた拳を強く握って耐えていると、ふいに玖皎が顔をあげてこちらを見た。