妖刀奇譚






当然呼ばれた思葉にも視線がちらちら送られる。


なんだか苛っとして、思葉は駆け寄ってきた來世にでこピンした。


力を入れすぎたあまり、ばちんと大きな音が立つ。



「痛てっ」



来世は両手で額を押さえて顔をしかめた。



「そんなに大声で呼ばなくても聞こえてるわよ。


で、何の用?」


「またそんな、用がないなら話しかけるみたいな言い方して……。


それじゃあ卒業までに彼氏できねえぞ?」


「あんたに言われる筋合いはないわよ」


「だから待てって!」



外に出ようとした思葉の肩を捕まえようと來世が手を伸ばす。


しかし捕まえ損ね、代わりに思葉の長い髪を一房掴んだ。



「ふわっ!」



なかなかに強い力で、思葉はバランスを崩して尻餅をついてしまった。


スカートがひらりとめくれ、近くを通りかかった生徒たちの足がびくっと止まる。


見えたぞ、という男子生徒の小さな声が聞こえて來世が青ざめた。



「わ、悪い思葉!」


「ほんっと悪いわよ。お尻痛くなっちゃったじゃない」



簀子に思い切りぶつけた臀部をさすりながら、思葉は來世を睨みつけて立ち上がった。


予想していた文句と少しずれていて來世はびっくりする。