「しかしまあ、そんな滅多に拝められないような妖怪に二体も遭遇して、そのうち一方には殺されかけてもう一方に助けられるとはな。
そのうえ祖父は珍しい類の人間ときている。
まったく、おまえは運がいいのか、それとも悪いのか?」
「し、知らないわよ。そんなこと言われたって……あたしが聞きたいくらいだよ」
思葉はぷいと視線を外した。
自分に非があるわけでもないのに、なぜか恥ずかしくなってくる。
喉の奥を鳴らすようにして笑ってくる玖皎を睨みつけ、わずかに冷たくした口調で言った。
「それなら、玖皎がその姿になれたのも、人間の影響を受けたからってこと?」
「まだ把握しきれていないが、おそらくはそうだろうな。
付喪神ではないが形態はそれと同じ、本体は人に使われてこそのものだ」
玖皎が太刀に向かって顎をしゃくる。
頷きかけて、思葉は首を傾げた。
太刀と交互に見て、群青の水干姿の青年を指差す。
「ちょっと待って。
そっちに掛けてある太刀が本体なら、こっちの人型はなんなの?」



