玖皎が自分の手のひらに目を落とす。
首の横をさすって、思葉は髪が乱れたままでいることに気付いた。
ヘアブラシで梳かしてみると、かなり絡まっているようで途中で歯が引っかかる。
髪のもつれをほどくようにブラシを当てながら、ふと浮かんだ疑問を口にした。
「玖皎」
「うん?」
「あの櫛の付喪神は、がっつり女の人の姿になっていたよね。
あんたみたいに術をかけられなくても人型になれる妖怪はいるものなの?」
やや考えてから玖皎は答えた。
「一概には言えんがなれるやつもいるんじゃないのか?
おれはそこまで詳しいわけではないが、人間の影響を強く受ければ受けるほど、人間に酷似した姿をとることはできるぞ。
付喪神に人型のようなものが多く居るのがいい例だ」
玖皎の言うとおり、どこかで見かけた絵巻に描かれていた付喪神たちは、手だけや足だけが人間のそれになっているものが多くいた。
ほとんど人の姿をして顔のみ獣やその本体となっているものもいた気がする。
毒々しい水色の足が三本生えた、壊れかかった箪笥の付喪神の絵が妙に印象に残っている。
玖皎は伸びをするように両腕を伸ばすと頭の後ろで組んだ。



