「まあ付喪神でも間違ってはいないか。
晴明の式になる前、おれは人喰い刀として都で好き勝手やっていたんだ」
「ひ、人喰い刀って……」
まるで中学生のときはどこそこ中学校に通っていた、と自己紹介をしているような口ぶりで玖皎はそう言った。
人を喰う刀。
まったく想像つかないが、とりあえず人間にとって迷惑でしかないものであることは認識した。
玖皎があぐらをかいて天井を仰いだ。
「おれは元々都の北側にあった山で生まれた。
無念の死を遂げた弱い鬼火や力のない妖怪が木々の波動によってひとつに集結して、おれという自我を持った魂ができたんだと思うぞ。
そこらへんはよく覚えていなくて定かではないがな。
それで特に不自由なく山に棲んでいたのだが、おれより強い一つ目の妖怪に喰われそうになってな。
山中を逃げ回って、あと少しで完全に吸収されちまうってところでたまたま山賊を見つけて、憑依しようとしたら身体をすり抜けてそいつが持っていた抜き身に納まった。
おれを手にした人間におれの魂の波動を流し込んで身体を乗っ取る術を覚えたのはそのときだな。
追ってきた一つ目の妖怪を斬り殺して逆に喰ってやって、そうしたらなぜか刀から出られなくなっちまったんだ。
だからその山賊の身体を乗っ取ったまま都に降りて、夜にふらつく人間の魂を食い漁るようになったな。
山賊の身体が使い物にならなくなったらそいつの魂も食いつぶして、次におれを拾った人間の身体を支配して夜に人間を探す。
で、そいつの身体に限界が来たらまた魂をいただいて別の人間に拾われ……何をしている」



