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来週末にある模試についての連絡で、帰りのショートホームルームは終わった。
号令と同時に部活に行く生徒。
のんびり友達のところに集まる生徒。
帰る支度をしながらラインとにらめっこする生徒。
みんな、それぞれの放課後を思い思いに過ごすために飛び出していく。
思葉も忘れ物がないか確認して教室を出た。
中学のときは文芸部という名の読書クラブと剣道部に所属していたが、高校ではどの部活にも入っていない。
部活見学には行ったけれど、入りたいと思う部に巡り合わなかったのだ。
「無理して入る必要ないんじゃねえのか?」
「思葉が入りたくないんだったら好きにしなさい」
來世と祖父の永近(ながちか)にそう言われて心が決まり、入部しないことにした。
だから放課後は本屋に寄って面白そうな文庫本を探したり、真っ直ぐ帰って家の手伝いをしたりしている。
たまに來世の頼みに付き合うこともあった。
「思葉、ちょっと待って!」
思葉がローファーに履き替えて昇降口から出ようとしたとき、後ろから來世の大きな声がした。
昇降口にいる生徒たちが、何事かと彼に注目する。



