妖刀奇譚






ランプに値段をつけながらそう考えたとき、和風な音が転がった。


半月前に取り付けたドアベルで、和物なのは永近の趣味である。


店の雰囲気にぴったりで思葉は気に入っていた。



「いらっしゃいませ」



本日最初の客は、50代半ばくらいの男だった。


少し疲れ気味のような印象を受ける。


もっと背筋を伸ばせば、頼りなさげな感じも少しはマシになりそうだ。


陳列棚には見向きもせず、番台の前へと歩いてくる。


思葉は値段つけを中断して、姿勢を正してその人と向き合った。



「あの、すみません」



外見そっくりな頼りない声だった。


なるべくにこやかな表情になって思葉は答える。



「はい、何でしょうか」


「連絡も無しに急で申し訳ないのですが……あの、引き取ってもらいたいものがありまして」



言いながら男は提げていた革製の鞄に手を突っ込む。


矩形の風呂敷包みがちらりと見えた。


今タイミングを逃したら流されてしまうと感じて、思葉は慌てて腰を浮かせた。



「ごめんなさい、今引き取りはしていないんです」


「え、そうなんですか」



男の瞳がびっくりしてくるんと動く。