「どんな流れでそんなことになるんだよ、絶対に何かあったろ。
おまえ、よっぽどのことがない限りそういう骨董品の所有者になんかならねえだろ、満刀根のじいさんがなりゃいいわけだしさ。
何があったんだよ、なあなあ?」
思葉は胸の中で舌打ちした。
言い方を間違えた、これでは來世の知りたがりを刺激してしまう。
思葉は來世の質問を無視して再び自転車をこぎ始めた。
「あっ、思葉、無視すんなよ」
「うるさい、あんたが求めてるような大した理由なんかないわよ」
「絶対に嘘だな」
(本当のことなのに)
すっかり勘違いして、何がなんでも聞き出そうとしてくる來世が面倒になってきた。
思葉はため息をついてもう一度否定しようと來世を振り返る。
そのとき、頭の奥でするりと引っ掛かりが取れる感触が走った。
『ねえ、どうしていつもきてくれるの?』
小学校に入学するより前の頃。
永近とに連れられて富美子の家で会ってから、來世は幼稚園が休みの日はいつも満刀根屋に来た。
もちろん、思葉を遊びに誘うためである。
両親の元にいたときは、周囲の子たちから仲間はずれにばかりされた。
誰にも仲良くしてもらえなかった、当然友達と言える存在もできなかった。
ひどいときは話すらしてもらえなくて、いつも部屋や園庭の隅で一人遊びをしていた。



